叢雲堂春秋

古典詩への憧憬を基軸に、書評と随想と ── If you're also a stargazer, feel the emotion. Think the thought. ──

2019-01-01から1年間の記事一覧

連作歌篇「アカトキクタチ」改十一首

先日『ノスタルジア』を見返したせいか急に思い立ち、かつて未来誌に載った連作歌篇で製作当時からその構成に得心のいっていなかったものが先ほど改めて仕上がったので、載せておく。 初出時と比較して、主に変化したことは一首増えたことと、配列を入れ替え…

沙羅みなみ『日時計』(青磁社)に寄せて

そうしなくてよかったのかはわからない。光は、けれど時おりそよぐ 高貝弘也の詩集を六冊読んだ。更に一冊頼んだ。それはさておき、もう随分前から現代短歌最大の収穫として最も推していながら、いまだに読み終えていなかった一冊をようやく読み終えた。 そ…

Am I Highly Sensitive Person?

HSS型HSPという概念を知り、自らの相剋と矛盾に満ちた特性に合点が行きそうな気がしている。ADHDとは違ったということか。薬が要るという衝迫は今のところない。仕事で変わったことを要求されることがないからかもしれない。秋の空気を浴びて以来、どちらか…

無月流霞抄・壱「落葉の風」

Twitter上で、即詠流霞と称するハッシュタグを用いたライブ即詠をもう随分長いあいだ試みている。先日行ったものの出来が良いように思われるため、細部に手を入れた上でまとまった歌群〈無月流霞抄〉として公開することにした。 なお、即詠流霞については詠…

モイ!iPhoneとVAIOからキャス配信中!!

一度アカウントを破壊したりもあったのですが、Twitterを媒介にツイキャスというライブアプリを利用しており、近況の報告やその時々の詩文に纏わる思索の放送に用いております。 人間ができていないので話のネタもないのに放送するという莫迦をやるのはもう…

私が現代語で歌を詠まない理由

Twitterで、こんなことを書いていました。 私が完全に現代語で短歌をやらない理由について、近々ブログを書きます。とてもくだらないことです。いまは未来で最も尊敬している沙羅みなみを読んでいます。— 流霞 (@Nostalfire_) September 6, 2019 というわけ…

古川日出男『ゴッド・スター』を読み終えて

ここ数日、感情も思惟もどうしようもない。まるでまとまりを持たない。泥のようだ。Twitterを普通に使うのをやめた。人を傷つけるから。誰かを呪うために言葉を吐くことに、疑問を持たなくなったから。嫌い、という感情にだけ支配されつつあったから。潰す、…

無機物性愛/蒐集披瀝癖/果てしなき疲弊

酒器を始めとして、身の回りの道具に尋常ならざる愛着を持っている様は私のTwitterに剋明に記されている。それでいっそ無機物性愛者になっては如何、ということを思った。 なっては如何、というかもともと無機物性愛を抱えているのではなかったか。今まで何…

音の連綿を考える

歌において歴史的かなづかいが身体化してくると、勢いひらがなが増えるのが自然の摂理である。 という持論を、一介の歌詠みとして長らく持っている。ここでいう身体化というのは、現代かなづかいで発想したものを歴史的かなづかいに直すという作歌法ではなく…

金蚉随想

金蚉の屍となるまでを眺めたり疾く秋茜飛びつるなへに という歌を詠み、昨日の朝Twitterに上げた。金蚉は「かなぶん」と訓み、屍は「し」と訓ませる。 カナブンを最も身近な「死」として捉える感性を幼い頃から携えてきた。それは死してなお瑞々しく緑に輝い…